歯周病とは

歯周病は、「歯の病気」ではありません。歯と歯肉の間にプラークによって引き起こされる「歯の周りの病気」です。歯肉の炎症による出血や発赤、腫脹などの諸症状が見られる「歯肉炎」、さらに炎症が進行すると歯を支える歯槽骨が破壊される「歯周炎」となります。また「歯槽膿漏」とは、歯周炎が重度に進行した状態です。

歯周病には別名があります。”サイレントキラー” 日本語だと「静かな殺し屋」や「静かな病」です。なぜこのようなインパクトの強い呼び名がついたかというと、歯周病や歯槽膿漏の場合には自覚症状がありません。 進行した場合には歯がグラグラ(動揺)しだしたり、歯茎が赤くなり腫れてくる、または出血してきます。既に説明した通り、歯は歯肉の下にある顎の骨によって支えられています。そして、その顎の骨が減ることを歯周病(歯槽膿漏)と言います。知らず知らずのうちに歯肉炎から進行して、歯槽骨や周囲組織を破壊し、気付いた時には取り返しがつかない状態になっていることから、誰にも気づかれずに密かに忍び寄り、そして殺す《暗殺者》のような病気なのです。

歯周病の進行度

『健康な状態』・・・歯と歯ぐきの間の隙間がなく、引き締まっている状態

『歯肉炎』・・・歯茎が腫れて、出血や口臭などの症状が出ている状態

『軽度歯周病』・・・歯ぐきが腫れ上がったり、歯磨きや食事中に出血する状態

『中度歯周病』・・・歯ぐきの炎症が慢性化し、歯槽骨(歯の根を支える骨)が溶け始めた状態

『重度歯周病』・・・歯槽骨が溶けて、歯がグラグラしたり、歯根が露出した状態



更に放置すると、やがて歯に支えがなくなり、歯が抜けてしまう場合があります。この時点で治療を始めても、抜歯する以外に歯を残す方法はありません。

40歳からの歯周病対策は不可欠

歯の抜ける原因というと虫歯を想像する方が多いかもしれませんが、国内で行った調査によると全世代を通して歯を喪失した最大の原因は「歯周病」でした。その割合はというと、全体の4割以上を歯周病が占めています。また成人のうち5人に4人が感染しているとも言われており、非常に感染者が多く、且つそれは歯を失うリスクが最も高い病気なのです。世界的に見ても歯周病に感染または発症している人は多く、世界記録を管理するギネスⓇでは人類史上最も感染者が多い病気に「歯周病」を登録したことを発表していました。

なぜ40代からかというと、前出の歯の喪失調査にて40代から歯周病による抜歯が急増し、50代からは歯を失った原因の半数以上が歯周病です。つまり40代以降は歯周病のリスクに対しての対策を行わなければいけないのです。歯周病の特徴として自覚症状がないまま進行することから、少なくとも半年に1回はかかりつけ歯科医院にて歯周病検査を受ける必要があります。

審美歯科治療の流れ

1 初回検査

所要時間30分
プラークコントロール指導(歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、洗口液など患者様のお口の状態に合わせた口腔清掃法の指導)と、プラークコントロールを困難にする歯石の除去、虫歯の治療、不適合冠の修正、歯周病に悪影響を与える生活習慣の改善を行います。

2 基本治療

所要時間 約30分
笑うと歯ぐきが見え過ぎることをガミースマイルと言ったりしますが、歯ぐきのラインが不対称な場合には歯ぐきの形の治療を行って改善します。

3 再検査

所要時間 30分
初期治療後の検査を行い今後の治療方針を再検討します。多くの患者様は歯石の取り残しのチェック(初期治療の徹底)を行えば症状は改善します。必要であれば初期治療を繰り返す場合もあります。
※歯石を1回で完全に取ることは難しいので通常は何回にも分けて行います。

4 外科的処置

所要時間 30分
初期治療で改善しない部位は、より高度な治療法(歯周外科手術、歯周形成外科、再生治療)を検討します。外科的な治療法が多くなりますが、目的は取り残した歯石を確実に除去すること、歯周組織を整形してプラークコントロールし易い環境を作ることです。(初期治療の目的と同じです)

5 再検査

外科処置後の検査で、予後を確認致します。

6 メインテナンス

所要時間 20分~40分程度
検査で良好な口腔内の状態が確認できたら定期検診に移行します。治療によって得られた健康な状態を永年維持するためには、腫れや痛みなどの不快症状がなくても、定期検診を継続して受けることが重要です。定期検診では、歯周病の再発防止と再発部の早期治療、噛み合わせのチェック、新たな虫歯の早期発見と治療、クリーニング(PMTC)、歯ブラシの確認などを行います。